メンタリストのDaiGoさんが何度も読んで心理学に興味を持つきっかけという噂の名著についてです。
この本は各章末に問題が出されているのですが答えが書いてありません。答えが書いてないほうが気になるからより理解度が深まるというのが作者の狙いでしょう。
なかなか心憎い演出なのですが気になるのであえて設問の正解を探して公開していきます。
ネットで正解を探したら全章の回答例を公開している記事がありました。答えのクオリティも高いのでこれが模範解答と考えていいでしょう。
とはいえ、全問正解とは言い難いようなので検証していきます。
この本を読んだみなさんもぜひ自分で回答してみてから人の答えと比較して理解を深めていってください。
中には大学の心理学や経済学の授業で設問への回答を宿題にされてこの記事にたどり着いた人もいるかもしれません。
リライトして語尾を変えたりしても先生方はプロなのでコピペかどうかすぐに見破ります。
先生も面倒なので特に指摘はしないでしょうが黙ってあなたの評価を下げます。
結局自分で考えないと身に着かず成長できないのでまずは自力で答えを考えてみましょう。
ちゃんと自分で成長していかないとうだつの上がらない社畜になるわよ(w
Amazonのユーザーレビューでは要約してくれている人もいるので見てみると参考になります。
心の自動反応
先に本の内容の本質をごく簡単に説明してきます。
影響力の武器は誰の心にもある自動で反応してしまう習性を利用して意図的に承諾誘導を行ったり、その種の誘導に惑わされないための知識が説明されています。
- 返報性:恩は返したい
- 一貫性:言行を一致させたい
- 社会的証明:周りの人たちを基準にする
- 権威:偉い人が正しいと感じる
- 好意:好きな相手をひいきしてしまう
- 希少性:少ないほうが価値を感じる
基本的には素早く反応するための脳の仕組みなのでエビデンスや理論が正しいかちゃんと確認すれば誘導されているか判断できます。
分かっていても誘導されてしまうので防御法は一旦冷静になって考え直すことです。無意識で起こってしまい自覚しにくいものは特に注意が必要です。
極論すると誰かがしてくることは誘導が含まれている可能性があるので全部疑い、自分発信で物事進めれば誘導されるリスクはかなり小さくなります。
そこまでする必要ある?
それくらい誘導されやすいってことだよ。
ビジネスや政治の世界ではよく使われてるテクニックだから覚えておいて見破ってやれ!
他のサイトの回答例や参考
全章の回答例を公開している記事はさすがにクオリティが高いです。基本的には厳密な正解はないので自分が正しいと思える解釈を探していけばいいでしょう。
全章の回答例
1~2の回答例
認知バイアス
社会心理学の基礎として認知バイアスも理解しておくと影響力の武器をより深く分析できるのでおすすめです。
このサイトの回答案
基本的には上でもリンクした全章の回答例を参考にしてください。ここでは答えのないものや解釈が可能な部分を説明していきます。
全章の回答例はたいさんが書いているので以後たいさんの答えと呼ぶことにします。
ちなみに問題も正確に書こうと思ったのですが著作権的にグレーなので簡単な説明にとどめてあります。正確な問題は本で確認してください。
第一章
第一章 設問3
自動的な影響力の武器3つの要素は何かを問う問題です。
回答案
1.自動パターンがある
2.トリガーがある
3.コントロールできる
第一章 クリティカルシンキング2
この問題は値段の違う寄付金カードを見せる順番による変化をコントラストの原理で説明せよというものです。
たいさんの答えだと「最初に25ドルをみると5ドルが安く見える」となっていますが、実はこの答えを作者に聞いて返事をもらった人がいるので紹介していおきます。
コントラスト効果に関する質問なので5ドルが安く見えるというのでも間違いではないのでしょう。
ですが、作者の意図としては「25ドル、10ドル、5ドル、15ドルの順に記載することでちょうど良く感じる15ドルを大多数の人が選ぶ」というのが正解とされていました。
コントラスト効果が出るということでなのですが、松竹梅の法則で極端をさけ中間を選んでしまうという点を問う意図の問題でした。
第一章 クリティカルシンキング4
章の初めにある広告が反映しているこの章の内容を問う問題です。
広告は私立探偵の業務に手間がかかることとパーム(モバイルコンピューター端末)でのバックアップの簡単さを比較したものです。
回答案
探偵業務の煩雑さを先に示してからパームのバックアップ作業が簡単に出来ることを示すことでパームの簡単さの印象を強くしている。
また少ない操作でバックアップできる点は面倒な判断が不要なことと内部処理が自動で行わており、影響力の武器がテーマとしている人の思考停止や自動的反応を暗示している。
第三章
第三章 設問3
この問題はたいさんと私で解釈が違います。もしかしたら設問の内容が違うのかな、とも思いますが私の案を書いておきます。
設問はコミットメントが自己イメージや一貫した行動に影響を与える4つの原因を問うものです。
回答案
1.人には一貫性を保ちたいという心理があるから
2.一度決定するとそれ以降思考や判断をする必要がなくなり楽だから
3.一貫性を保つという理由で他者からの批判を排除できるから
4.コミットメントに対する責任が生まれ態度を変えにくくなるから
1と4が似ている点と利便性と心理的なメリット(楽になること)を同列で扱っている点は検討の余地があるかと思いますが大筋では合っているだろうと思います。
ちなみにコミットメントの影響は一貫性を保つよう促す意識(自己責任感)が強まることだと私は理解しています。
サンクコスト(埋没費用)の意識もコミットメントから派生していると思います。
ついでに恋人にサンクコストをかけさせたほうが愛される理論があったので紹介しておきます。相手に時間やお金を使わせたほうが自分への愛が強まるという話です。
強まってるのは愛というよりサンクコストの回収意識じゃないか?
そうかもしれませんが、コミットメントで一貫性を維持する意識が強まっているとも言えるでしょう。
とはいえ、サンクコストを高めてあえてハードルを上げていく作戦は悪くはないかもしれません。ですが、相手が使ってきた場合は注意が必要です。
基本的には恋愛や心理テクニックを試してくる人はその後も色々と試してきて面倒くさいので全体的に手間がかかりがちです。
悪気はないんだろうけどずっと試され続けたら面倒臭いわね。
人は誰でも自分に都合よく考えてしまうものなので期待値が上がりすぎてしまうことがあります。
高まってしまった相手の期待を裏切ってしまったときに微妙な感じになりがちです。
人の行動は本来自己責任で行うべきものなのですが「あなたのためにやったのに」という意識が強くなって相手に責任転嫁しまうのがよくないのでしょう。
余計なことをされても「あなたのためだ」と言われると「自分の責任でやったことでしょ」とは言いにくくなるね。
あんまり言われたことないけどw
おまけ 【心理学】サンクコスト理論を知ってれば、好きな人から死ぬほど愛されることが可能になる話
第三章 設問5
「ローボール・テクニック」と「自分を支える脚を作る」の関係を答える問題です。ここももしかするとたいさんの版と設問が違うのかもしれません。
回答案
ローボールが手法でその結果として相手に行わせる言行がコミットメントとなりその人の立場や一貫性を支える脚となる。
第三章 クリティカルシンキング1
回答自体はだいたい同じですがたいさんの答えは過去の捕虜になった経験のある兵士向けのアドバイスになっているのではないかと思います。
私のはまだ捕虜になっていない兵士へのアドバイスにしてみました。
設問のアメリカ兵は今捕虜の身なのか、過去に捕虜となっていたのか、それ以外の一般の兵士なのか特定されていないので解釈の幅があります。
日本語の設問だとどの解釈が正解なのかは厳密には特定できません。「朝鮮戦争で、」とあるので英語的には朝鮮戦争の最中という意味になっていそうな気もします。
本分の話の流れを考えると今捕虜として一貫性の圧力を受けながら協力を依頼されている捕虜と考えたほうが妥当かもしれません。
例によって設問自体が違う可能性があるので読者のみなさんはお手元の本の設問をよくみて判断してください。
回答案
承諾誘導だと見抜き自分の一貫性を保つ行動を取らないように勧める。胃や心の発するメッセージに耳を傾け怪しいときはコミット前に戻ったらどうするか考え直すよう勧める。
第3章 クリティカルシンキング2
設問が100文字以内で答えよとなっていたらたいさんの答えがいいと思います。私としてはもう少し説明すべきだと感じたので長めの解答にしてみました。
回答案
取り返しのつかない入れ墨でコミットさせると強い一貫性が生まれ他に乗り換えにくくなる。
入れ墨を入れるにはお金と時間がかかり、また簡単には取り消せない行為なので入れること自体にかなりの強い意志と努力が必要になる。
入れ墨は他人の目にも見えるので公表する行為である。
判断という知的ストレスをさけるため思考停止しやすくなる。
自分をそのような人間だと定義してアイデンティティーを更新するので未来の判断や決定もそれにしばられる。
このようなことから入れ墨を入れるというコミットメントをした顧客は自分の意思、行動、努力、公表という経験から将来の行動に一貫性を保つので別のブランドに乗り換える心配はなくなる。(執筆中)
第五章
第五章 クリティカルシンキング1
ここの問題は相手を好きになってしまって困る理由を説明せよというものです。
ある意味この本で最大の難問だったのではないかと思いますが、問題に出てくる「ジェーン・オースティン姉妹への手紙」が本の中で説明されていません。
このパターンはこの本の中でここだけだったと思います。
ネットで調べると出てくるのですが和名は「ジェイン・オースティンの手紙」となっているので勘を働かせて探さないと見落としてしまいます。
ぐぬぬ、計ったな光秀!
というほどでもないですがちょっとした罠になっています。
そんなことはもちろん知らない私は第五章を2回も見直してしまいました。これはこれで作者の意図通りと言えなくもありません。
私が持っている『影響力の武器』は第二版なので新しい本では注釈がついたりしているかもしれません。もし付いてないとしたら付けたほうがいいです。
(本当にそうなってしまうとこの項目の存在価値はなくなりますが)
肝心の問題ですが、ジェーン・オースティンも姉妹も問題とはあまり関係ないので”ある人が”などと読み替えれば解けます。
ちなみに五章は好意の説明なのでこの答えは好意をもってしまうと頼みごとを断りにくくなるからというのが正解と考えられます。
洋書の翻訳だからこれくらいのことはまぁ仕方ないわね。
知ってる人は知ってるんだからそもそも自分の教養のなさを作者のせいにするのもよくないわよ。
ジェーン・オースティンとか姉妹とか分かりににくい例えをださなければいいだけなのに……
説得に活かすときのポイント
影響力の武器は本の中にでてくるエピソードに近い状況ならそのまま使えるでしょう。ですが、それ以外ではひと工夫必要です。
多くの場合、説得がうまくいかない原因は相手の思いに寄り添えていないことにあります。
内容や目的、根拠、主張している人とかに、その相手にとって気に入らない部分があるってことよ。
思いとは考え方や感じ方がから生まれています。
相手を理解するためには言葉の裏にある考え方や感じ方を理解すべきです。
まずは相手の話をよく聞いて相手の本心を理解するといいです。その助けになるのが認知バイアスです。
人の言うことは建前やプライドで偏向されやすいのですが、認知バイアスを理解すればその偏向前の本心や心理傾向など理解しやすくなります。
認知機能の根本的な部分には価値観や世界観があって、そこから気持ちや考え方が生まれ、最後に現実的な建前やプライドなどで整えられて出てくるのが人の言葉というものです。
相手の言葉と次の認知バイアス一覧を照らし合わせて本心を予想してみてください。
たとえば、多くの人は感情バイアスに強く影響されていて、良い、心地いいと感じる選択や行動を取りたがります。
たとえ相反する証拠があっても、心地よい感覚をもたらす肯定的な感情効果のあることを信じたがる。逆に好ましくない、精神的苦痛を与えるような厳しい事実を受け入れたがらない。(上記参考サイトより引用)
感情バイアスに照らし合わせて考えれば、相手にとって好ましい選択や行動が見えてくるはずです。
人は自分の価値観によって、誰か尊敬する人や上司に頼まれたいとか、結果的にみんなのためになるならやってもいいとか、いろいろな考え方をします。
それらを考慮して自分の説得や提案を相手がよろこぶ形にしてあげれば説得の成功率が上がります。
自分じゃなくて相手がよろこぶ流れを作ってやればいいんだ。
自分で作りようがないときは他の人に頼んでもいいな。
それでもダメなら根拠とかタイミングの問題だろうな。
理論や証拠だけで客観的に考えられるのは一部のかなり理性的な人だけなのよ。
理性的な人はせいぜい全体の3割くらいね。
だから相手の感情をメインに考えるくらいでちょうどいいの。
感情以外では自分の立場とか利害関係を優先しちゃう人も多いわ。
そういう人には分かりやすいメリットを示せるといいわね。
参考
影響力の武器の著者チャルディーニ33年ぶりの書下ろし、第7の武器を説明した著作が次のプレ・スエージョンです。
ざっくりまとめるとメッセージは内容よりも伝える前の瞬間が一番大切だと説明されています。
この記事で扱っている影響力の武器の第二版。
理論を活かすための戦略編も出てます。
実際に使うときの実践編もあります。
長い文章は苦手という人にはコミック版もあります。記憶は復習で定着するので普通に読むのも悪くありません。
その他の動画や記事。
動画 ブログ詐欺の恐るべき手口…必見のテクニック6選【影響力の武器】
参考 影響力の武器という本の感想。要約を交えて設問にも答えます。
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